【活動報告】鎌ケ谷市教育委員会へ「教育DXと教育機会の均等化」に関する要望書を提出しました

こんにちは。行政書士試験合格者(2027年1月開業予定)の保坂好範です。

2026年7月27日、鎌ケ谷市教育委員会の指導室長を訪問し、今後の公立小中学校におけるICT教育のあり方について、私見をまとめた「鎌ケ谷市の公立小中学校における教育均一化と教育DXに関する要望書」を直接提出してまいりました。(学校教育課にて正式に公文書として収受されております)


長年、企業の財務や資金繰りに向き合ってきた実務家としての視点、そして鎌ケ谷小学校のPTA会長を2年間務めた中で見えてきた「現場のリアルな課題」を踏まえ、なぜ今この提言を行ったのか。その背景と内容を共有させていただきます。

目次

鎌ケ谷市の前向きな一歩と、残された「インプット」の課題

鎌ケ谷市では、国が進めるGIGAスクール構想に基づき、すでに1人1台の端末(Chromebook)配備が完了しています。さらに、令和8年9月からは小学校に総合学習ソフト「ミライシード」、中学校に「eライブラリアドバンス」が導入されることが決定しました。これは、子どもたちの学習環境をアップデートする素晴らしい決断であり、一市民として高く評価しています。

しかし、これらのAIドリルは主に「理解した知識を確認し、定着させる(アウトプット)」ためのツールです。 分数の割り算の概念や、複雑な英文法など、新しい概念を誰がどう教えるか(インプット)については、依然として「各担任の先生の技量や授業スタイル」に委ねられています。

先生方にはそれぞれの強みや個性がありますが、授業の質や進め方の違いが、子どもたちの「学習機会の格差」に繋がってしまうのであれば、それは公教育として見過ごせない課題です。

鎌ケ谷市小中学校へ最高品質の「映像授業」と「AI」のセット化を提言

そこで私が提言したのは、現在のAIドリルに加え、「全国最高水準の講師による映像授業」を全小中学校に標準導入することです。

  1. 最高水準の授業をすべての子どもに: 時間や場所、担任の先生を問わず、誰もが「一番分かりやすいプロの授業」に何度でもアクセスできるようになります。
  2. AIドリルとのシームレスな連携: 「どこでつまずいているか」をAIが発見し、必要に応じて前の学年の「映像授業」にさかのぼって学び直す。この【理解(映像)→確認・定着(AIドリル)】のサイクルが回って初めて、個別最適化された学びが完成します。

また、小学校と中学校で異なるツールが導入されている現状に対し、学習データの継続性を担保するため、次回契約更新時(令和13年度)に向けた「小中統一の一体型サービスへの移行」と、それに伴う国の交付金を活用した「具体的な財源・予算試算(実質負担年間400万〜1000万円程度)」も併せて要望書に盛り込みました。

「投資」としての子どもたちの未来、そして先生方の環境改善

教育への支出は、単なる「経費」ではなく、未来の鎌ケ谷を創るための最も確実な「投資」です。

映像授業が「知識を教える」役割を担い、AIが「採点や分析」を自動化すれば、先生方の最大の悩みである業務負担(特に昼食時間や休憩時間を削って行われている採点業務)は劇的に軽減されます。 そして、先生方は「子どもたちの感情や意欲に寄り添い、励まし、伴走する」という、人間にしかできない最も尊い教育の本来の役割に専念できるようになります。

「すべての子どもに、ひとしく最高の学びを」。 今後も、感情論ではなく、事実と論理、そして予算の裏付けをもった「具体的な解決策」を行政へ提言し、愛する鎌ケ谷市の未来のために行動を続けてまいります。

提出した要望書の全文を読む(クリックで開きます)

鎌ケ谷市の公立小中学校における教育均一化と教育DXに関する要望書

提 出 日:令和8年7月27日

提 出 先:鎌ケ谷市長 殿 / 鎌ケ谷市教育委員会 御中

提 出 者:鎌ケ谷市民  保坂 好範

【はじめに:本要望に至った経緯と想い】

 私は2023年度・2024年度の2年間、鎌ケ谷小学校のPTA会長を務め、先生方・子供たち・保護者の皆さまと日常的に関わらせていただきました。その中で痛感したのは、子供たちの学習環境が「どの学校のどのクラス(担任の先生)にあたるか」に少なからず左右されているのではないかという懸念です。

 先生方は、若手からベテランまで、それぞれに強みと個性をお持ちです。それ自体はすばらしいことである一方、授業の質や進め方の違いが子供たちの学習機会の格差につながるとすれば、それは公教育として決して望ましい状況ではありません。日本国憲法第26条は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と定めています。公教育の根幹に関わる問題として、正面から向き合う必要があると感じております。

 こうした問題意識を深めるなか、私自身は民間のオンライン講座を受講し、令和7年度の行政書士試験に合格いたしました。時間・場所を問わず、最高水準の授業を何度でも受けられるオンライン学習の力を、身をもって実感いたしました。「この仕組みを義務教育に活かせれば、すべての子供たちに等しく最良の学びを届けることができる」と確信するに至り、本要望書を提出する次第です。

 現在、私には高校1年と中学2年の息子がおります。テストの結果を見るたび「どこでつまずいているのかが分からない」、分かったとしても「親ではフォローしきれない」という壁にぶつかり、結果として塾に頼らざるを得ません。子供自身も「どこが分からないのか」を言葉にすることが難しく、共働きの保護者が家庭で毎日フォローするには、時間的にも精神的にも限界があります。これは私だけでなく、多くの保護者が抱える共通の悩みではないでしょうか。

 本要望は、子供・先生・保護者の三者すべてにとって有益な提案です。「大人に対する支出は経費ですが、子供に対する支出は経費ではなく投資です。子供時代・青春時代をどう過ごすかは、その後の人生に大きな影響を与えます。大人になってから挽回しようとしても、仕事・家庭・経済的な事情など様々な外部要因が重なり、容易ではないのが現実です。」これは私が長年抱いてきた信念です。「子供にとって最良の学び」を最優先に置きながら、先生の業務負担軽減、保護者の家庭学習サポート軽減をもあわせて実現できるよう、教育委員会において前向きにご検討いただきますよう、お願い申し上げます。

【鎌ケ谷市の現状と評価】

 本市は令和2年度に、国のGIGAスクール構想に基づいてChromebook(1人1台端末)および各教室への大型提示装置・書画カメラの整備を完了しました。さらに令和8年9月1日からは、小学校にミライシード(ベネッセコーポレーション)、中学校にラインズeライブラリアドバンスを5年間の契約で導入されることが通知されました。ミライシードはデジタルドリル・CBTシステム・学習状況把握・授業支援ツールを備えた総合的なサービスであり、これまでの課題に対応しようとする前向きな取り組みとして高く評価しております。

 しかしながら、今回の通知を踏まえても、以下の3点が依然として課題として残っています。第一に、映像授業が含まれていない点です。ミライシード・eライブラリアドバンスはいずれも優れたAIドリル・学習管理ツールですが、最高品質の映像授業機能は備わっていません。第二に、小学校と中学校でツールが分断されている点です。今回の通知では小学校にミライシード、中学校にラインズeライブラリアドバンスが導入されることになっています。小学校でミライシードの操作やAIの学習アルゴリズムに慣れた子供が中学校入学とともに別のツール(eライブラリ)に切り替わることは、過去の学習データの蓄積・引継ぎという観点からも、学習の継続性という観点からも懸念があります。小学校にミライシードを採用しながら中学校に同ツールを導入しない理由・方針について、保護者・市民に対する説明が求められます。第三に、活用が現場任せになるリスクです。令和8年5月の指導室訪問において、これまでのeライブラリ・スマイルドリルの活用は「現場の判断に委ねている」とのご回答をいただきました。ツールを入れるだけでは不十分であり、教育委員会が主体的に関与し、活用を促進・検証する仕組みが不可欠です。一方で、さらに充実させていただきたい点があります。それは「最高品質の授業の標準化」です。

 映像授業について補足します。ミライシード・eライブラリはAIドリルとして「理解を確認し、定着させる」機能に優れています。しかし「新しい概念を最高品質の授業で理解させる」機能ではありません。分数の割り算、英文法の構造、文章の読み解き方、こうした新しい概念を誰が届けるかは、依然として担任の先生の技量に委ねられています。映像授業があることで初めて「理解→確認→定着」の一連の流れが完結します。さらに映像授業とAIドリルが同一プラットフォーム上にあることで、つまずいた単元をさかのぼって映像で学び直し、そのままドリルで確認するというシームレスな遡り学習が可能になります。別々のツールでは、この連携は機能しません。

 国のNEXT GIGA(令和7〜9年度)においても個別最適な学びの充実が求められており、今回のミライシード導入はその方向性に沿った取り組みです。次のステップとして、映像授業の追加導入と令和13年度の契約更新に向けた小中統一の検討を求めます。

【提案の概要:最高品質の授業を「映像」と「AI」のセットですべての子供に】

 本提案の核心は、以下の2つの機能をセットで揃えることです。

■ 機能① 最高品質の映像授業(授業の均質化)

全国最高水準の講師による授業映像を、すべての子供が何度でも、時間・場所を問わず視聴できる環境を整えます。担任の先生がどなたであっても、子供たちは常に「最良の講義」にアクセスできます。これが、教育均質化の根幹です。

■ 機能② AIによる個別最適学習(つまずきの発見と解消)

 子供一人ひとりの学習履歴をAIが解析し、つまずいている単元を自動検出。必要に応じて小学校レベルまでさかのぼり、最適な問題・映像を提示します。「どこが分からないか言えない」という子供の課題と、「どこでつまずいているか探せない」という先生・保護者の課題を、同時に解決します。

 この2つがセットで機能することで、初めて「理解→確認→定着」のシームレスな学習サイクルが完結し、「すべての子供に、最高水準の授業を、個別最適な形で届ける」という公教育の理想が実現します。

【三者それぞれへの効果】

  • 子供(最優先)
  • 全国最高水準の授業映像に、いつでも・何度でもアクセスできる。どのクラスの子供も、質の高い学びを等しく受けることができる。
  • AIが自分のつまずきを自動発見し、さかのぼって教えてくれる。「分からないことが言えない」問題が解消される。
  • 不登校・病気療養など、教室に来られない状況でも学習が継続できる。
  • 塾に頼らずとも、家庭で学習の遅れを取り戻せる環境が整う。
  • 先生

【ミライシード導入で改善される点】

  • 令和8年9月からのミライシード導入により、採点・課題配信の自動化、クラス全員の学習状況の可視化、定期テストを含む個別分析レポートの出力が可能になる。先生方の最大の業務負担であった採点作業が大幅に軽減され、個人面談・通知表作成の準備も効率化される。

【映像授業が加わることでさらに進化する点】

  • 映像授業が加わることで、授業準備の負担がさらに軽減される。「知識を伝える」という作業を高品質な映像が担うことで、先生は一人ひとりの子供の理解度・感情・意欲に向き合う時間を確保できる。
  • 「知識を伝える」という作業をAIと映像に委ねることで、先生は一人ひとりの子供の感情・意欲・人格に向き合う「伴走者」としての本来の役割に専念できる。
  • 板書したい・授業をしたいという情熱をもって教壇に立たれた先生方にとって、採点やプリント作成に追われる時間が減ることで、子供たちと正面から向き合う時間が増える。励ます言葉、気づきを引き出す問いかけ、悩みに寄り添うまなざし、これらは人間の先生にしかできないことであり、テクノロジーが進化するほど、むしろその価値と必要性は高まっていく。
  • 保護者
  • 子供の学習状況を家庭からリアルタイムで確認できるダッシュボードにより、「どこでつまずいているか」が保護者にも分かる。
  • 家庭でのフォロー負担が軽減され、共働き家庭でも安心して子供の学習を支えられる。
  • 塾費用の削減につながり、経済的格差による学力格差の解消にも寄与する。

【具体的な要望事項】

 以下の要件を満たすサービスを、教育委員会において適切に選定・導入されるよう要望いたします。特定の製品・企業を推薦するものではありません。

【要望①】必須機能の確保。

令和8年9月からのミライシード(小学校)導入は、AIドリル・学習管理・自動採点という観点から前向きに評価します。その上で、ミライシード・eライブラリのいずれにも含まれていない「最高品質の映像授業」サービスを別途追加導入することを求めます。映像授業とAIドリルが連携することで初めて「理解→確認→定着」のシームレスな学習サイクルが完結します。特定の製品・企業を推薦するものではなく、学習指導要領への準拠性・遡り学習との連携機能・コスト等の観点から教育委員会において適切に選定してください。

【要望②】小中ツール選択の説明責任と令和13年度の統一検討。

小学校にミライシード、中学校にeライブラリアドバンスという異なるツールを選択した背景・理由を、保護者・市民に対して明確に説明すること。小学校でミライシードに慣れた子供が中学校入学時に別のツールへ切り替わることは、学習の継続性という観点から懸念があります。令和13年度の契約更新時には、映像授業を含む一体型サービスで小中統一した環境を整えることを検討するよう、強く求めます。

【要望③】教育委員会の主体的関与によるミライシードの活用徹底。

ツールを導入して終わりにしないことを強く求めます。過去のeライブラリ・スマイルドリルでは活用が現場(各学校)の判断に委ねられ、学校間・クラス間で利用の差が生じていました。ミライシードでも同じことが繰り返されてはなりません。教育委員会として以下を実施してください。

  • 活用ガイドラインの策定:全校で均一に活用されるための最低活用基準を定め、各学校に周知すること。
  • 定期的な研修・サポート体制の整備:先生方が機能を使いこなせるよう、導入直後および年1回以上の研修を実施すること。
  • 学校別の利用状況モニタリング:ログイン率・学習時間・正答率等を定期的に集計し、活用が低調な学校へ重点的にサポートを行うこと。
  • 効果の定期公表:年1回以上、学力向上効果・教員負担軽減効果を市民に公表し、PDCAサイクルを確立すること。

【要望④】保護者への学習状況の開示。

ミライシードが提供する保護者向け機能(学習状況のリアルタイム確認等)を全家庭に周知し、確実に活用されるよう取り組むこと。子供が言えない「分からない」を保護者が把握し、家庭学習のサポートに活かせる環境を整えること。

【要望⑤】既存ツールとの整合・統廃合の検討。

令和8年9月から令和13年8月までの5年間契約が終了するタイミングで、映像授業を含む一体型サービスへの移行と小中統一した学習環境の整備を真剣に検討すること。その準備として、令和8〜12年度の5年間でミライシード・映像授業サービスの活用実績・効果・費用対効果を継続的に記録・検証しておくこと。

【要望⑥】先生方の採点負担軽減とミライシード管理機能の活用促進。

先生方の最大の業務負担である採点作業の軽減を最優先で進めること(実態として貴重な休憩時間や昼食時間を削って採点業務にあたられているケースも散見されます)。具体的には、

  • 宿題・確認テスト・定期テストを含む自動採点機能の活用徹底。
  • 個人別の強み・弱み分析レポートを個人面談・通知表作成に活用できる体制の整備。
  • 授業準備を支援するコンテンツ検索・配信機能の活用促進、を求めます。

【要望⑦】映像授業サービス選定にあたっての必須要件。

映像授業サービスを選定する際は、以下を必須要件とすること。

  • 文部科学省の学習指導要領への完全準拠。
  • AIドリルとのシームレスな連携による遡り学習機能(映像でつまずいた単元をドリルで確認し、さかのぼり学習が一気通貫で完結すること)。
  • 場所・時間・回数を問わない視聴環境(家庭・不登校の子供も含む)。
  • 費用対効果・他自治体実績の比較検証を経た上での選定。

【段階的導入ロードマップ】

【ステップ1:令和8〜12年度】ミライシード活用の徹底と映像授業の追加導入

 令和8年9月からのミライシード導入を着実に定着させることが最初のステップです。教育委員会として活用ガイドラインを策定し、全校で均一に活用される体制を整えてください。並行して、映像授業サービスの追加導入を令和8年度中に検討・選定し、令和9年度からの運用開始を目指していただきたく存じます。映像授業の対象は積み上げ型学習でつまずきが生じやすい小学5年生から中学3年生(4,208人)を優先的に想定します。小学1〜4年生への拡大は効果検証を踏まえて将来的に検討します。

【ステップ2:令和9〜12年度】効果検証とモニタリングの継続

 ミライシード・映像授業サービスの学校別ログイン率・学習時間・正答率・教員残業削減量・保護者満足度を毎年度集計し、教育委員会として効果を検証・公表します。活用が低調な学校には重点サポートを実施し、学校間格差が生じないよう取り組んでください。この5年間の実績データが令和13年度の契約更新判断の根拠となります。

【ステップ3:令和13年度】映像授業込み一体型・小中統一サービスへの更新

 5年間の契約終了(令和13年8月)を契機として、映像授業を含む一体型サービスで小学校・中学校を統一した学習環境へ移行することを検討してください。一体型サービスを採用することで、「映像授業でつまずいた単元を理解→AIドリルで定着確認→さかのぼり学習」というシームレスな学習サイクルが実現します。費用概算は対象4,208人(小5〜中3)で年間約1,260万〜2,100万円(1人あたり3,000〜5,000円、全教科パッケージ・他自治体実績ベース)。デジタル田園都市国家構想交付金等の国庫補助(事業費の1/2〜2/3)を活用すれば、市の実質負担は年間約420万〜1,050万円程度です。

【おわりに:子供たちの未来への投資を】

 「最高水準の授業をすべての子供に。AIの力で一人ひとりのつまずきをきめ細かくフォローする」。これは公教育の究極の目標であり、憲法第26条が保障する「ひとしく教育を受ける権利」の実質化です。子供への支出は消費ではなく投資です。中学・高校をどう過ごすかが、その後の人生の大方を左右します。大人になってから取り返すことは容易ではありません。だからこそ、今この時期に、最高品質の学びを届けることが公教育の使命です。

 鎌ケ谷市はChromebook整備に続き、今回ミライシードの導入を決定されました。着実な前進として高く評価しております。次のステップは「最高品質の映像授業の追加」と「教育委員会が主体となった活用の徹底」、そして「令和13年度に向けた小中統一の一体型サービスへの移行検討」です。子供・先生・保護者の三者にとって有益なこの提案を、ぜひ後期基本計画・教育振興基本計画に反映していただきますよう、心よりお願い申し上げます。

 教育への投資が市民の豊かさに、ひいては鎌ケ谷市全体の豊かさにつながると確信しております。

以 上

提出者氏名:保坂 好範    印

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